【雑談】 無貌の神と貘
出雲旅行記7
まだまだ続く、石見銀山の観光。
雪が降ったりやんだり、時には太陽が差したりまだするという、日本海側の不順な天候の中を、坂道をテクテクくだる。
やがて見えてくるのが、豊栄神社だ。
こちらには毛利元就の神像が祀られていたそうだが、現在は別の神社に移動させられている。
気になるのは門に祀られた二体の像。
毛利元就だと思われるが、なぜか顔がないのだ。
賢明なる探索者ならば気づかれただろうが、これがニャルラトテップの像であることは――言うまでもない。
さらにぐんぐんと山を下りて、ようやく古い町並みの残る大森地区へと帰ってきた。
昼飯が食べられるところはないものかと歩くが、ほとんどの店が閉まっている。
まあ、観光客なんていないしね。開けていても無駄だろう。
そんなことしていると、ボランティアのガイドさんが声をかけてきてくれた。
よかったらガイドしてあげましょう、というわけだ。
せっかくなのでご厚意に甘えることにする。
ガイドさんは二人、こちらも二人。
マンツーマンでの観光だ。
最近、いろいろな観光地でも実施していることだが、このように民間のボランティアのガイドさんが町を案内してくれるようになった。
地元の人たち全体で、観光地を盛り上げようという試みなのだろう。良いことである。
丁寧に保護され、江戸時代から変わらないという町並みを歩きながら、ガイドさんからの豆知識などに耳を傾ける。
私が知りたかった、昭和初期の銀山が休山した当時の様子など、いろいろと質問する。
わざわざ寂れている頃の様子を知りたがるなんて変な客だと思われたかもしれないが、普通の資料では触れられていない話など、いろいろ聞くことが出来た。
現在、観光の目玉となっている龍源寺間歩だが、そこに入るような物好きは、ちょっと前までいなかったという話には、ちょっと笑った。
この石見銀山は、当然ながら最盛期は非常に裕福な集落だったおかげで、神社仏閣が多く、しかも造りが豪華である。
彫り物なんかは気合い入っているし、銀山が寂れてから静かに維持されてきたため、当時の面影も強く残されている。
そんな建物を見るだけでも、好きな人は十分に楽しめるだろう。
私が気に入ったのは、西性寺の彫り物。
観光ガイドなどにはあまりしっかり載っていないが、「左官の神様」と言われた松浦栄吉が残した漆喰の鳳凰があることで、ちょこっと紹介されていたりする。
やっぱりお金があったんだよな。
しかし、私が気に入ったのは、本堂のほうにある神獣の彫り物たち。
龍、獅子、麒麟などに並んで、貘もいて、その横顔はなかなか可愛いのだ。
さて、半日かけて散策した石見銀山だが、そろそろ終点の城上神社となる。
つづく
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